双極性障害
気分が落ち込むうつ状態と、気分が高まる躁状態を繰り返す病気です。「双極性障害」はかつて「躁うつ病」といわれていたため、うつ病の一種と誤解されがちですが、実はこの二つは異なる病気で、治療法も異なります。双極性障害の有病率は約1%と言われており、うつ病よりも頻度は少ないとされています。うつ病の患者が、極端に調子がよくなり普段とかけ離れた言動をする時期がある場合に双極性障害を疑います。
症状
双極Ⅰ型では、躁状態が通常の生活ができないほど激しかったり、妄想を伴ったりします。双極Ⅱ型では、躁状態が比較的軽いとされています。躁状態、うつ状態、症状がない時期の3つが移り変わり、数週間から数か月を1サイクルとして繰り返していくとされています。うつ状態の時には、うつ病と同様に、憂鬱な気分、喜びや興味の喪失などがあり、躁状態の時には、眠らずに活動し続ける、しゃべり続ける、お金を使いすぎる、借金する、ギャンブルで散在する、自分が偉大だと感じる、性的に奔放になるなど、本人は気分が良いものの、暴言や尊大な態度で周囲の信頼を失ったり、破産・失業など社会的に困ることになったりする場合があります。
原因
双極性障害の正確な原因は判明していません。何らかの遺伝的要素の関与も疑われていますが、家族歴がない人も多いため、環境要因も関係すると考えられています。うつ病の原因として挙げられているセロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の調節がうまくいっていない可能性や、ドーパミンの影響、細胞内での情報伝達の問題など様々な要因が考えられます。
診断
本人や周囲の人から、どういったエピソードがあったかを聞き取り、アメリカ精神医学会が発行している診断基準(DSM-5)などと照らし合わせます。甲状腺機能の異常や薬物使用など、気持ちに影響を与えうる問題がないか確認するために血液検査を行う場合があります。
治療
うつ状態や躁状態の程度が強い時には入院が必要になる場合があります。気分安定薬、抗てんかん薬、抗精神病薬、抗うつ薬などの薬を使用します。躁状態の方は、自分が病気だという意識が薄いため受診が難しいことがあります。周りの人が影響を受けて困る場合がありますが、その際は各自治体の精神保健福祉センターなどへ相談することができます。再発しやすい病気であるため、通院や薬物治療を続けられる体制を作ることが大切です。
予防
双極性障害の発症を予防する方法は知られていません。双極性障害の患者さんは、規則正しい生活を心がけ、普段と違う出来事があるときやストレスが加わった時には注意するようにしましょう。また、躁状態であると感じたら早めに精神科主治医に相談することも大切です。躁状態の時には家族や周りの人を罵倒してしまうこともあり、周囲の人に負担がかかることもあります。ご家族の病気への理解と、対応方法などに関するアドバイスが重要です。
参考文献
- Mol Psychiatry. 2018 Mar;23(3):639-647.
- Nat Commun. 2014 Mar 11;5:3339.
- Hum Mol Genet. 2016 Aug 1;25(15):3383-3394.